3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「誰が妹なのよ…。誰が妖かっての。」
「う~ん。仕方ないんじゃないかな。」
貞滋は思わず楓に同意してしまった。
「何よ。」
「うん?見たまま?」
今だ騒いでいる二人と横からの笑いを含んだ視線。
「はっはっは。鈴音と貞滋が兄弟。鈴音が妖。はは、的を得てるなぁ。はっ駄目だ。笑いが…。」
そのうえ明まで笑い出す始末。
とうとうぶちっと何かが切れる音を貞滋は聞いた。
鈴音が急に立ち上がりまず貞滋の頭を軽く叩くき、次に楓とみのるの近くまでいくとみのるにデコピン、楓の鳩尾に思い切り蹴りを入れた。
『ぴゃぁ!』「ぐへっ。」と変な奇声があがった。
「さっきから黙っていれば好き勝手言いやがって。私達は兄弟でもなければ私は妖でもない!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい鈴音。」
笑い涙を拭いながら明は鈴音を宥める。
「自己紹介してない方も悪いんだから。」
鈴音はその言葉に反論出来ず元の位置に戻った。
そして明の視線に促され渋々口を開いた。
「仲達鈴音。」
「柊貞滋。」
楓は二人の名前にきょとんとする。
「あれ?苗字…。」
「この二人は兄弟ではない。鈴音は血の繋がった娘だが貞滋はちがう。」
「それ以前に俺は人間ではないしね。」
明の言葉を引き継ぐように貞滋が自分の正体を明かす。
最初のコメントを投稿しよう!