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『はぁ。楓の馬鹿。』
「でも素直だよね。どこかの誰かさんとは大違い。見てみなよあの顔。」
清々しい笑顔で楓を言葉で攻める。楓も本気にはしてないようだが少し縮こまっているようにも感じた。
『なんて言うか仲良ししゃ(さ)んだよね。』
妖二人は笑い合った。
そうこうしているうちに別れ道へとたどり着く。
「じゃあ俺達こっちだから。」
そう言って楓は筋肉痛が痛むのかぎこちなく歩きだす。
「まだまだ弱すぎるわね。」そのぎこちなさに鈴音は溜め息混じりに呟き人より耳のいい貞滋はそれを聞きとり苦笑するしかなかった。
「あ。」
急に貞滋が立ち止まる。
「鈴、俺達すごく大事なこと忘れてない？」
「やっぱり。」
忘れていたかった。というのが本音だろう。二人は顔を見合わせ溜め息をつく。
「鈴、手筈は？」
「ぬかりないわ。」
「さすが鈴『だーれだ？』。」
いきなり現れた少女は貞滋の目を隠した。
「蜜（ﾐﾂ）でしょ。」
『さすが貞滋ちゃん。』
そのまま後ろから抱き着く。
『も―。久々過ぎるんだから。』
嬉しそうな顔から一転鈴音を睨みつける。
『どっかの誰かさんが呼んでくれないし。』
睨まれた鈴音は溜め息まじりに言う。
「呼ばないんじゃなくて呼びたくないのよ。あんたいつもテージに絡むでしょ。それにそっちもやることあるでしょ。」
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