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『はぁ…はぁ…。またじゃ。自分の意思関係なく人型をとってしまう。この霊力のせいかのう。』
ここは神守の森。
妖達の姿が見えなくてもここでは今までにないくらい妖力を感じる。黒猫は先程から繰り返ししている変化をそのせいと考えていた。
『確かこの森の奥にあるはずなんじゃ。』
荒くなっている息を整え再び走りだす。
獣の姿の方が速いのだが自分の意思に関係なく繰り返される変化により人の姿ではこの山道は上手く進めない。
『ワシには時間がもう…!!』
視線を感じ後ろを振り返る。
しかし誰もおらず気を張りすぎたかと安心した瞬間前から声が聞こえた。
「みーつけた。」
『!?』
そこには黒のマントをすっぽりと被った人がいた。
『お主何者じゃ?』
黒猫は一歩後ろへ下がる。
「何者と言われてもそう簡単に答える訳ないじゃない。」
男か女か。声だけでは判断できない。頭からマントを被っているので今の身長が本当かどうかさえもわからなかった。
「ただ言えるのは君―黒猫―が欲しいと言うことがな。」
「っ!?」
口調は楽しげなのにも関わらず殺気を感じた。
獣の本能か勘なのか危険と判断し全速力で山を上る。
しかし今の黒猫の姿は人で言うニ、三歳。
山道を上手く登れる訳がない。
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