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「逃がさないよ。」
―パチンッ。
指を鳴らすと荒鬼が三体現れ黒猫を取り囲んだ。
『なんじゃ!?』
「だから言ったでしょ。“逃がさないよ”って。
お前達、―行け―。」
合図と同時に襲い掛かってくる。
(余りにも元の姿から離れすぎておるからわからぬがこやつら意外と素早い。)
荒鬼から逃げながらも山の奥へと進んでいく。
『またじゃ。』
すると体に違和感を感じ人の姿から猫の姿へとまた勝手に変わっていた。
「あっ!それ反則!ずるい!!」
猫へと変わったおかげで荒鬼からなんなく逃げることができた。
「あ―あ。逃げられちゃった。
…でも思わぬ収穫がありそうかな。」
新しいおもちゃを見つけた子供のように後ろに意識を向ける。
「あら。気づいてたの?意外ねぇ。」
木の陰から出てきたのは質の悪い笑みを浮かべた鈴音と九尾の姿に戻った貞滋だった。
「まぁ完璧に気配消してた訳じゃないから気づかれないと私達が困っちゃうんだけどね。」
「そうだったんだ。てっきり気配消すのが苦手なのかと思っちゃった。」
「そんな訳ないでしょ。ちょっとあなたを試しただけよ。どうやら荒鬼を操って上機嫌になっているみたいだし。」
「うわぁ―何様?でもそんなに上機嫌になってたかな?まぁ“あの人”に認められたしそうなのかも。」
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