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『君達は何者?』
「“あの人”って誰よ。」
二人の質問に答えようとしない。変わりにさらに殺気をぶつけてくる。
「てかそのマント姿ちょっとダサすぎない。見てるこっちが恥ずかしいんだけど。」
鈴音の軽い挑発にも乗ってこない。
「あんたがさっきのお馬鹿さんと違うのはよくわかったわ。」
深呼吸を一回。それを合図に鈴音の雰囲気がかわった。
「で、いつから居たのかしら。」
相手の殺気に負けじと鈴音も殺気をぶつける。隣に居る貞滋が思わず冷や汗をかきそうなくらい二人の睨み合いは恐ろしい。
「あなたは私達がくるよりも前からずっと様子を伺っていたんじゃないの。」
一瞬相手が怯んだのを鈴音は見逃さなかった。それに気づいたのか相手が対峙してから初めて口を開いた。
「気づいていたの?」
「だとしたらここへたどり着く前にぶっ潰してるわ。」
「認めるのね。」
「えぇ。あなたが気配を消すのが私より上手いことは認めるわ。そこだけはね。」
「意地っ張り。そこは似てないようで似てるのね。」
「何が?」
相手が急に自身の殺気を抑えると背を向ける。
「私戦う気はないの。」
「でしょうね。あなたはあのお馬鹿さんの監視役みたいだし。」
鈴音も殺気を抑えた。
「ほんと何様なの?」
「何様でもないわよ。」
相手は鈴音を睨みつけるとそのまま姿を消した。
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