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『鈴?』
鈴音はしばらくその場を見つめていた。
「行くわよ。」
そして何かに思い至ったのか隣にいる貞滋にまたがり先を急かす。
『確かこの森の奥って…。』
「そうよ。この森には春を司る精霊がいる。」
神守の森。それは春を司る精霊がいる森。
「荒鬼の侵入を許した挙げ句それによる森の破壊。さすがにご立腹よね。」
『それでも出て来ないあたり俺達―妖霊媒師―はまだ信用されているのかな。』
「さあね。そもそも出会ったことがないからわからないわ。」
精霊という存在はあまり人に姿を見せない。よって二人は精霊に出会ったことがない。ただし天然ドジっ子雪女という例外もあるが…。
「でも精霊は森の奥深くにいてしかも結界によって入ることはできない。その結界は私達でも容易に壊すことはできないと言われ―パリンッ。」
何かが割れる音が聞こえ二人の間に微妙な空気がながれた。
『壊すことできないんじゃなかった?』
「…ていたかしら。」
『まぁ結界だもん。壊されちゃうこともあるよね。
でもどうやったんだろう。
精霊の域へと入る結界は俺達でさえ見つけれないのにどうして見つけれたんだろうね。』
「考えられるのは悔しいけど相手が私達より強いか、それか精霊自身が招き入れたか…。」
自分で言いながらも鈴音は見当がついていた。
(さぁ何者なのか教えてもらおうかしらね。黒猫さん。)
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