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荒鬼を余裕でかわすと貞滋の隣へと来た。
「貞滋。“そのまま”でもいけるわよね。」
「そんなの聞くまでもないでしょ。」
「そうね…。
じゃあ時間稼ぎよろしくね。」
「了解。」
貞滋は勢い良く荒鬼へと突っ込んでいく。
もちろん荒鬼も易々と懐には入らせてはくれない。
巨大な体の割には素早い動きで木の上へと移動した。
「やっぱ元が猿だからなのかな。素早いね。でも…。」
地面を蹴ったかと思うと貞滋の姿は一瞬にしてその場から消えた。
「まだ遅い。」
消えたと思うと荒鬼の背後に現れ、そのまま背後から荒鬼を思い切り蹴り飛ばした。そして手を荒鬼に向かって掲げる。
「『狐火』」
貞滋の手から青白い炎が出て荒鬼に襲い掛かった。
荒鬼もそこまで馬鹿ではないようで迫り来る炎を余裕でかわした。
『ギィ?』
荒鬼は貞滋に襲い掛かろうと一歩踏み出すがそこには貞滋の姿はすでになかった。
「だからそっちじゃないって。」
声は荒鬼の足元から聞こえてきた。
『ギャア!!』
足元の貞滋を鋭い爪で引っ掻こうとうでを伸ばす。
しかし狙われた本人は余裕な顔して荒鬼の腕に飛び乗り顔目掛けて駆け上がる鋭く伸びた爪で荒鬼の両目を引っ掻いた。
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