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(医院長視点)
カツーン…カツーン…
夜の帳に包まれた薄暗い病院の廊下
非常口のランプが淡く足元を照らす
そして足音だけが闇に反響する
やがて、その足音は光が僅かに漏れる扉の中へ吸い込まれていった…
『おつかれさまです先生、例の患者は…』
『思った以上に深刻な外傷だ…銃弾が2発、胸部と腹部に見つかった…』
『やはり、彼の経歴からして…』
『間違いないな…』
『とんでもない患者を受け入れてしまいましたね…』
『あのーさっきから気になってたんですけど、彼、有名な方なんですか?』
若いナースが訊いてくる
『あぁ、裏の世界ではな…』
『え…もしかして…』
『興津秀典…条南会の幹部だと思われる…』
『じょ…えっ…、』
『ともかく彼には複合手術を施した、後は第2病棟504室に彼を頼む…』
『わかりました』
『私は疲れた…仮眠をとらせてもらうよ』
やっかいな患者を受け入れてしまったなと柳田医院長は思った
しかし、彼は受け入れなければならない患者だと知っていたからこそ受け入れたのである
でなければ、他の病院にたらい回しできたのだが…
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