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景子と女はしばし見つめ合い、声を揃えるようにして
『ジャンケンポンッッ!!!』
五回目の掛け声が響き渡った。
前へ差し出された両者の右手は
お互いがパーだ。
五回目にして初めてのあいこだ。
力んで見ている俺達はほっと肩を撫で下ろす。
「あいこだわ。
それじゃあ改めてやり直しね。
このあいこで運が変わってなきゃいいわね
フフフ…」
女は高々に笑った。
そんな発言に対し景子は
一切動揺する事もなく
「ふんっ!
そんな事言ったってただの負け惜しみにしか聞こえないんだからね!!」
と、強気な発言で言い返した。
景子はとても頼もしくなっている。
逆に心配し続けている俺達の方が弱々しい。
いつも女々しい景子の姿は今やどこにもない。
俺達のために
自分のために
やりたくもない勝負に立ち向かっている景子は本当に頼もしい。
「それじゃあいくわよ!」
再び両者が手を振り上げた
『ジャンケンポンッッ!!!』
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