あなたの為に

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「次も景子が勝ってこの勝負終わりだな!!」 大吾までも余裕を見せている。 「それじゃあいくわよ。」 六回目のジャンケン 『ジャンケンポンッッ!!!』 威勢の良い景子の声が女よりも大きく聞こえてきた。 二人は見つめ合い笑っている だが… すぐさま景子の表情から笑顔が消えた。 女の出された右手はチョキ そして景子の右手はパー 景子の負けだ 「フフフ… やっぱり勝ったわ。 どうやらあなたの運はさっきまでだったみたいね。 今度は私の番 連勝してみせるわよ!」 女はより一層不気味に笑うと血塗れの右手を振りかざした。 「景子が負けちまった いや… まだ景子の方が有利なんだ。 あの女が勝ったのも偶々だ。 次こそは景子が勝つに違いない!! 運に見放されてるわけないさ なっ!? 修平もそう思うだろ??」 少し不安に思いながらも大吾はそう話した。 「そうだな 次はきっと…」 俺はそれだけ言って黙り込んだ。 正直何も言えないのが現状だ。 もちろん景子には勝ってほしい でも 本当にわからない。 勝てるだなんて 俺の口からは言えなかった。
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