あなたの為に

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女は見透かしたように鼻で笑うと 「びっくりしただけねぇ… フフ まぁいいわ。 それじゃあ三回目始めましょう」 そう言うと手を振り上げた。 景子の体は未だに震えていた。 だが負けられないという強い意思が犇々と伝わってくる。 そんな思いを受け止めながら俺達は再び祈る。 次も景子が勝ちますように… 『ジャンケンポンッッ!!!』 二人の掛け声が響き渡った 景子の手はパーだ それに対し女はグー 「… やった 勝った… また勝ったぁぁぁ!!!」 景子は跳びはねて喜んだ。 結果を知った俺達も歓喜をあげた 「ウフフ また負けちゃったわ。 ジャンケンは運次第 これはあなたに運がまわってきたって事かしらね。」 女は少しも悔しがる素振りも見せず冷静に淡々と言った。 これで景子が2勝 あと3勝だ。 まるで子供のように喜ぶ景子 そんな姿を見て俺は少しほっとしていた。
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