俺とユノアの初めての休日

10/15
前へ
/26ページ
次へ
「支払いはいいのか?」 「すでに払っています。ネーナも同様です」 「そういう事。それじゃあ行こうか?」  シェリアとネーナはそのままどこかに歩いていく。 「と、俺たちも行かないと。ユノア」 「……ん……」  俺たちはシェリアたちの後を追う。  ……さっきの店で何か注文した方が良かったかな? 「……大丈夫……」 「何がだ?」  まさか、俺の心を読んだのか? 「……私とユウキは……心で繋がってる……。……だから、考えてる事は、分かる……」  つまりは、読めるというよりは、感じるって感じなのかねぇ……。 「……そんな感じ……」  いや、これは確実に“読む”の方だろ。 「……なんの話か、わからない……」 「確実に読んでるだろ!!」  ユノアは、俺から顔をプイッと背けた。 「ユーくーん! ユノアちゃーん! 早く、早くー!!」  俺がユノアをジッと見ていると、遠くからネーナが手を振りながら、俺たちを呼んだ。 「……行くか……」 「……ん……」  ユノアの読心術については、また今度でいいな、うん。 「さて、ようやく着いたね」  シェリアとネーナはそれなりに大きな店の前で立ち止まる。 「なぁシェリア。なんで、俺はここにいるんだ?」  店の中には、女性ものの服がたくさん並んである。  男ものの服は見受けられない。  まさかアレか? 財布ってヤツなのな? 俺は。 「分かりませんが、多分、あると思います」 「さあ、買うぞー! ユー君の奢りで!」 「おい! ちょっとまっ――」  ネーナは俺の話を聞くことなく、店の中に入っていった。 「隊長、その……」 「大丈夫……大丈夫だ、シェリア……」 「私も欲しい服があるんですが……」 「…………もう好きにしろ……」 「すいません! 絶対にお金は返しますから!!」  シェリアは俺に頭を下げると、店の中に駆け込んでいった。 「……大丈夫、だよな?」 「……ご飯……」  分かってる……分かってるから、そんな目で俺を見ないでくれ……。 「……行こ……」 「……ああ……」  自分で歩く気力すら無くなった俺は、ユノアに手を引かれて店の中に入る。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加