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「見て見て~。ユー君をアタシの色気で骨抜きにしちゃうよ~」
「あーそうだな」
とりあえず、適当には相槌を打っておく。
ネーナの口調から察するに、ずいぶんと見た目に似合わない服を着てるんだろうなと思う。見る気は無いけど。
店に入ると、シェリアは少し見てくると言ってどこかに行ってしまい、ネーナの買い物に付き合う羽目になっている。
ユノアの服を探すという点では凄く助かる事なんだが、金銭面では非常に困ってしまう。
せめて、もう少し金が入ってからにしたかった……。
「それにしてもさ、ユー君」
「どうした?」
「シェリア、遅いと思わない?」
「服を選ぶのに時間がかかってるんじゃないのか?」
せつ姉や早苗が、女性の服選びは時間がかかるって言ってたし。
「んー、その可能性は薄いと思うよ。シェリアはあの性格だしね。結構、パッと決めるよ」
「言われてみればそうだな。あの性格で迷う方がおかしい気がする。ユノアはどう思う?」
「……あれ……」
俺とネーナは、ユノアが指差す方を同時に見る。するとその先には、困ったような様子で誰かと話しているシェリアがいた。
「んー……どうもお困りのようだねぇ」
「そうみたいだな」
「ちょーっと、助け舟を出して上げようかな~。ユー君、あたしは着替えがあるから、ユノアちゃんと先に行ってて」
そう言うとネーナは、試着室のカーテンを閉めた。
「了解。できるだけ早く来いよ」
「できるだけねー」
ガサゴソという衣擦れの音を聞いていると、相手がネーナでもどこか恥ずかしくなってきて、俺は早足でシェリアの方へと向かう。
「ですから、そういう事は……」
「ね? そう言わずに、アタシを助けると思ってね~」
「どうしたんだ、シェリ……」
シェリアの話し相手を見た瞬間、俺は体が硬直してしまった。
ド派手なピンクの頭にくるんとカールしたモミアゲ。これまたフリルのついたピンクのド派手な服に白のズボン。胸元の開き方が尋常じゃない男が……いや、男であろう存在がそこにいた。
あまりに見ていたくない光景のためユノアの方へ視線を向けると、いつもと変わらない無表情でシェリアの話し相手を見ていた。
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