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結局、ネーナにいいように言いくるめられた俺たちは、店長に連れられて近くの教会にまでやってきた。
なぜ教会まで来たのか不思議に思うが、店長曰わく、この方が雰囲気も出ていいらしい。後、そこの神父様がかなりいい男らしい。
確実に後者の理由が主な理由だな。
「ユノアと散歩だったはずなのにな……」
「……ん……」
ユノアが同意したが、なんとなく悲しそうに聞こえた。
「いや~、まさかこんな事になるなんてね~」
ネーナが少しだけ申し訳なさそうに頬をかく。
すでにタキシードに着替えた俺は、ユノア、ネーナと一緒に教会の祭壇の前で待機している。
撮る写真は誓いのキスをする直前のシーンらしいが、ウエディングドレスを着たモデルを撮るのに、そんなシーンが必要なのだろうか?
というかそもそも、なんで俺は大人しくタキシードに着替えてここにいるんだ?
「まあまあ、そんなに考えこまないでよ、ユー君。あんなに美人さんなシェリアと合法的にキスできるんだよ? 最高じゃん!!」
「いや、ダメだろ。それに、キスする直前で止めるし」
満面の笑みでウインクをしながら、親指を立てて突き出すネーナに、ほぼ即答で返す。すると、つまらなそうにネーナは顔をしかめた。
「まあ、それはそれとして、シェリア、スッゴい綺麗だったよ」
「そっか……」
「花嫁さんのご入場よ~ん!!」
そんな声とともに教会の扉が開き、光が差し込んできた。
ゆっくりと近づいてくるその姿に、俺たちは息を呑んだ。
「ど、どうでしょうか? 隊長」
「あ、ああ……」
俺たちの前に立ってそう言ってきたシェリアに、俺は生返事しか返せなかった。
ユノアもネーナも、驚きとは違った意味で目を見開いていた。
ウエディングドレスを着たシェリアは、綺麗意外の言葉が思いつかないぐらいに綺麗だった。純白のドレスに、光を受けて輝いていると錯覚するような白い肌。メイクした人の腕がいいのか、シェリアの顔がいつも以上に映えている。
シェリアに見入っていると、奥の扉が開いて神父様が出てき……。
「神父様?」
奥の扉から出てきたのは、リーゼントでサングラスをかけた屈強な男だった。キチンと神父が着てる服に身を包んで。
店長を除いた俺たちは、神父様に見えない神父様に信じられないといった様子で視線を送る。
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