しがない理事長の1日

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――AM10:10――  書類仕事に一区切りをつけたウルは、アンナとともに会議室で深く繋がりのある都市の代表たちと、モニター越しに話し合いをしている。 「して、今回の議題である“アウラ”という機械神について、詳しい話を聞かせてもらおう」  厳格な顔立ちに白髪混じりの髪をした、帝都オラトリアの代表・グランス・フラット・クルトリアの発言に、他都市の代表たちが頷いて同意する。 「ええ、もちろんです。アンナ、資料は?」 「すでに送っています」 「では、皆さん。資料が送られているはずなので、それにそって説明をします」  ウルに促されて資料が入ったファイルを開いた人たちが感嘆の声をもらす。 「まず最初に、このアウラという機械神には、動力源と呼べる物が内蔵されていません。しかし、出力やスペックなどが従来の機械神よりも1世代、もしくは2世代は上を行っています」 「という事は、我々が開発を進めている例の3機と同等かそれ以上と?」  帝都スルガの代表・オルレア・メルフレイアが尋ねる。 「ええ。もしかしたら、それ以上かもしれませんが。何分、不明な部分が多いので」  そのウルの言葉に一部の代表は疲れたように息を吐き、一部は考え込んでうなり声を上げる。 「では、次に移りたいと――」  その後、アウラの現パイロットである悠季とユノアについてやアウラの量産についての話し合い、帝都スルガにて開発が進められている新型についての会議が2時間に渡って行われた。  会議が終わると1人、また1人とモニターが消えていき、グランスとウル、アンナだけがその場に残った。  他がいなくなったのを確認した後、グランスが気まずそうに咳払いをして口を開く。 「その、なんだ……シェリアは、どんな様子だ?」  先ほどまでの代表としての気概が急になくなり、戸惑うグランスをウルとアンナは苦笑混じりに見る。 「元気にやっていますよ。なあ、アンナ」 「ええ。最近は射撃訓練にもさらに気合いが入っており、いい傾向です」 「う、うむ。そうか……そうか。ならば、いいのだ。では、な」  安心したように息を吐くとモニター消え、ウルとアンナだけがこの場に残った。 「さて、飯を食いに行くか」 「そうですね。時間が時間ですし」  凝った体を解すように体を伸ばしてから腰を上げ、2人は会議室を出て食堂へと向かう。
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