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「ユノア。朝飯だぞー」
今度もやはり体を揺すってみる。
「……ごは……ん……?」
お、今度は一回で目が覚めたな。
「そうだぞ。だから、早く起きろー」
「……むぅ~……」
ユノアは、不機嫌そうに目をこすりながら体を起こす。
「起きたらとっとと食いに行くぞ。飯が冷めちまう」
「……ん~……」
ユノアは、こっちに向かって両手を広げて何かをねだっている。
なんとなく何を望んでるのか想像がつくけど、寝起きは幼児退行するのか?
「……ん~……」
相変わらずユノアは、両手を広げて何かをねだっている。
「……はぁ……分かりましたよ、お姫様」
俺はユノアを抱き寄せ、いわゆるお姫様だっこという形に抱きかかえ、部屋を出て行く。
「……ん……」
抱きかかえられたユノアは、安心したように頬が緩んでいる。
「ほいっと」
ユノアをイスに座らせ、俺はその反対側に座る。
ユノアは座ってもなお、フラフラと揺れている。
「いただきます」
「……ます……」
「美味いか?」
俺は、少しずつ朝食を食べ進めるユノアに聞いてみる。
「……ん……」
「そっか」
まぁ焼いただけだから、失敗のしようも無いんだけど。
「それで、ユノア。今日はどうする?」
「……歩く……」
いや、それはそうなんだが……。
「もっと何か無いのか? 買いたい物とかさ」
「……ない……」
これは、色んな意味で大変だな……。
「なら、行きたいと――」
「……ごちそうさま……」
食べ終わっちゃったよ……。
「……後で……」
ユノアは立ち上がって部屋に戻っていった。
「……はぁ、片付けよ……」
俺は食べ終わった食器を下げ、洗い始める。
「まったく、ユノアは本当にマイペースだな。何を考えてるのかイマイチ分からないな。まぁそれがいいところなんだけどな……はぁ……」
寂しいもんだなぁ……。 このままじゃ、独り言が増える一方だな。
「……はぁ……と、これで終わりだな」
うん、汚れも泡も残ってない。清々しいな。
「さてと、時間も8時を回ったし、少し早いけどいいかな。ユノアを呼びにいかないとなぁ~」
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