俺とユノアの初めての休日

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「ユノアー、そろそろ……」 「……スゥ……」  また寝てるし。いや、まぁ寝る子はよく育つって言うけどさ、ほどほどじゃないといけないだろ?  明らかにユノアは、寝過ぎだ。 「ほら、起きろ」  体を揺すると、さすがに三回目だからなのか普通に目を覚ました。 「………………」  ボーっとしてるな。 「おーい」  目の前で手を振ってみるが、反応がない。  前の言葉は訂正しよう。ユノアが普通に目を覚ます事はないらしい。 「おーい」  もう一度、手を振ってみるがこれも反応がない。  仕方ないな。あんまりやりたくないが、せつ姉からやられてた起こし方やってみるか。 「…………」  ボーっとしてるユノアの背後に回り込んで……そーっと耳を……。 「はむ」  甘噛みする。 「ひゃわぁ!?」  おお、すごい効果だな、やっぱ。 「目は覚めたか?」  ユノアは甘噛みされた耳を押さえながら、普段はなかなか見れないような、慌てた表情で俺を見る。  正直、めちゃくちゃ可愛いです。ハマってしまいそうです。 「…………」  状況が飲み込めないらしく、ユノアはボーっとしたままだ。 「そろそろ行くか? 街の探索にでも」  俺がそう聞いた事で、ようやく理解が追いついたのか、いつも以上に間を開けて、ユノアは小さく頷く。 「よし、行くぞ」  俺はユノアをベッドから下ろし、玄関へ向かい、外へ出て行く。  外は、雲一つない、とは言えないが、とてもいい天気だ。  4月の暖かな日差しで体がぽかぽかする。 「さて、まずはどこに行きたい? ユノア」 「……どこでも……」  ああ、そうだったな……そう言ってたっけ? さっき。  ま、適当に歩いてれば面白いものに会えるだろ。  お金もそれなりにあるしな。 「そんじゃま、いきますか」 「……ん……」  やってしまったなぁ……完全に道に迷ってしまった……。  ユノアは気づいてるのか知らないけど、後ろをゆっくりついてくるだけだし。 「……はぁ……」 「……大丈夫……?」 「ああ」  俺は後ろにいるユノアに手を振って答える。 「…………」  あれ? いつもなら、ん、とか簡単な返事があるってのに、いったいどうしたんだ?
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