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対するユノアは、いまさら恥ずかしくなったようで、顔を赤くして俯いてしまった。
というか、何? もしかして俺、告白された?
…………い、いや! それは違う! 違うと思う! 違うと信じたい!! とりあえず、今は流そう、うん。
「えっと、じゃあこれで」
「ありがとうございました」
俺はユノアにぬいぐるみを持たせ、ユノアの手を引いて店から外にでる。
さて、次はどうしようかな? まぁブラブラするだけだけど。
それにしても、あんなロボットが作れる技術があるっていうのに、街並みは俺が知っているのと変わらないな。
車もマンガで見るようなヤツじゃなくて、タイヤがついてるヤツだし、あんまり異世界に来たって感じがしないんだよなぁ。
「……ユウキ……」
「どうした?」
「……あれ……」
ユノアが指差した先には、アイスクリームと書かれた看板があった。
「欲しいのか?」
「……ん……」
欲しいみたいだな。それにしても、アイスクリームを食べるのは久しぶりだな。
向こうにいた頃でも、よほど暑い時しか食べなかったからなぁ。
早苗とか、せつ姉とか、神崎はよく食ってたけど、よくあんなに食えるもんだ。
特に冬場なんて食えたもんじゃない。体は冷えるし、腹は壊すし、最悪だよ。
「……行かないの……?」
「あ、ああ、行くぞ」
考え事をするせいで動きが止まるのは、直さないといけない悪い癖だな。
「さてと、味は何がいい? ユノア」
「……メロン……」
「分かった。メロンとバニラを下さい」
注文すると、あまり待ち時間もなく、すぐに俺はアイスクリームを受け取った。
「ほら……っと、ぬいぐるみにアイスがつくな」
「……大丈夫……」
ユノアは、ぬいぐるみを脇に抱えると背伸びをして、俺の手からメロンのアイスを受け取り、アイスをひと舐めする。
「……甘い……」
「そりゃそうだろ。アイスなんだから」
さっきの言葉から甘いのは苦手なのかと思ったけど、笑顔で食べる姿からは大好物の部類に入るらしい。
「……溶ける……」
「ん? あ、ああ、そうだな」
溶けて手につくと、ベトベトするから嫌なんだよな。
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