俺とユノアの初めての休日

8/15

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「……大きい……」  ユノアは俺の食べた後を自分の食べた後と比べる。 「俺の食べ方は舐めるんじゃなくて、かぶりつくって感じだからな」 「……ん……」  ユノアは視線を自分のアイスに向けると、ペロペロとアイスを舐める。 「さて、アイスも食ったし、どうすっかな」 「……歩く……」  ユノアはコーンの部分を少しずつかじっていく。 「行きたいところとか無いのか?」 「……ない……」 「…………」  ええ、予想していましたとも。どうせ、この答えが返ってくるだろうなーとか思ってましたよ。  それでも確認をとるぐらいは……あれ? アレって……。 「ん? あ! ユー君だ!! ヤッホー!!」  ネーナがカフェテラスから、こっちに向かって手を振っている。  テーブルに手を置いて、バランスをとりながらイスを後ろに倒しているが、正直、危なかっしい。 「ネーナ。落ちたら危ないだろう」  一緒のテーブルに座っているシェリアが、カップを口に運びながらネーナに注意する。 「も~、かったいなぁ、シェリアは」  ネーナはイスを元に戻すと、キチンと座り直した。 「ユー君たちもおいでー」  別に行くところもないし、いいかな? 「ユノ……」  声をかけようと思い、ユノアがいる隣を振り向くと、そこにはユノアの姿はなく、いつの間にかシェリアたちと同じテーブルについていた。 「……はぁ……」  俺だけ別行動ってわけにもいかないしな。だからって、寂しいわけじゃないぞ。 「いやー、それにしても休日にこんなとこで会うなんて、スッゴい偶然だね~」  頬杖をつきながら、いつも以上のニコニコ顔でネーナが言う。 「ああ、本当にな」  迷って歩いてただけとは絶対に言えない!! 「本当は迷っただけだったりして~」  ぐっ! なんでこんな時に限って勘が冴えてんだよ!! 「俺が迷子になるわけが――」 「……そう……」  またかユノア! 少しは否定させてくれよ!! 「広いですからね。初めてきた人なら、迷っても仕方ありません」  シェリアはカップを手に持ち、俺に向かって優しく微笑む。 「どうしました?」  あれだな。シェリアの大人っぽい雰囲気が、店の雰囲気とものすごいあってるな。 「どしたの?」  ……本当にシェリアと同学年かよ? 「?」  うん。ユノアは年も見た目通りだから問題ないな。  つまり……。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加