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「……大きい……」
ユノアは俺の食べた後を自分の食べた後と比べる。
「俺の食べ方は舐めるんじゃなくて、かぶりつくって感じだからな」
「……ん……」
ユノアは視線を自分のアイスに向けると、ペロペロとアイスを舐める。
「さて、アイスも食ったし、どうすっかな」
「……歩く……」
ユノアはコーンの部分を少しずつかじっていく。
「行きたいところとか無いのか?」
「……ない……」
「…………」
ええ、予想していましたとも。どうせ、この答えが返ってくるだろうなーとか思ってましたよ。
それでも確認をとるぐらいは……あれ? アレって……。
「ん? あ! ユー君だ!! ヤッホー!!」
ネーナがカフェテラスから、こっちに向かって手を振っている。
テーブルに手を置いて、バランスをとりながらイスを後ろに倒しているが、正直、危なかっしい。
「ネーナ。落ちたら危ないだろう」
一緒のテーブルに座っているシェリアが、カップを口に運びながらネーナに注意する。
「も~、かったいなぁ、シェリアは」
ネーナはイスを元に戻すと、キチンと座り直した。
「ユー君たちもおいでー」
別に行くところもないし、いいかな?
「ユノ……」
声をかけようと思い、ユノアがいる隣を振り向くと、そこにはユノアの姿はなく、いつの間にかシェリアたちと同じテーブルについていた。
「……はぁ……」
俺だけ別行動ってわけにもいかないしな。だからって、寂しいわけじゃないぞ。
「いやー、それにしても休日にこんなとこで会うなんて、スッゴい偶然だね~」
頬杖をつきながら、いつも以上のニコニコ顔でネーナが言う。
「ああ、本当にな」
迷って歩いてただけとは絶対に言えない!!
「本当は迷っただけだったりして~」
ぐっ! なんでこんな時に限って勘が冴えてんだよ!!
「俺が迷子になるわけが――」
「……そう……」
またかユノア! 少しは否定させてくれよ!!
「広いですからね。初めてきた人なら、迷っても仕方ありません」
シェリアはカップを手に持ち、俺に向かって優しく微笑む。
「どうしました?」
あれだな。シェリアの大人っぽい雰囲気が、店の雰囲気とものすごいあってるな。
「どしたの?」
……本当にシェリアと同学年かよ?
「?」
うん。ユノアは年も見た目通りだから問題ないな。
つまり……。
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