4人が本棚に入れています
本棚に追加
「失礼いたします。商品レンタルの更新手続きに参りました」
その声を聞いておばあさんが慌てて玄関に走って行った。ボクの更新手続きに来たんだ。どうなるのかな?おじいさんももう精一杯って言ってたし…このままボクはまた子再社に戻って違う所に売り飛ばされてしまうんだろうか。そうなったらボクはもう元の世界に戻れないような気がする。そんなの絶対に嫌だ!
おじいさんがお店のほうから出てきてボクを呼んだ。ボクはおじいさんと一緒に子再社の人とおばあさんがいる玄関へと進んだ。
胸がドキドキしてる。子再社の人に会ったらすぐに連れて行かれてしまうのかな。まだおじいさんとおばあさんにちゃんとお礼も言ってないのに。でもおじいさんとおばあさんにとってボクは商品でしかないわけだから、別に寂しくとも何ともないんだろうな。それでもボクは何だか怖くて子再社の人の顔を見ることができず、ずっと下を向いていた。
そんなボクに気が付いてくれたのか、おじいさんがそっとボクの肩を抱いてくれた。おじいさんは何も言わず黙っていたけど「大丈夫だ、何も心配いらない」って、そう言ってくれてる気がした。とっても嬉しかった。ボクは商品なんかじゃない。今もちゃんとした一人の人間なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!