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それからどれだけ時間が経ったのかはハッキリとはわからない。でもボクがコンビニにたどり着いたのは確かにまだお昼前だったんだ。それなのに、次にボクが目を開けた時には太陽がもう夕日に変わりかけていた。とっても眩しかった。ボクは目の前に両手をかざして日除けをつくり、さっきまで手に持っていた買い物カゴを探した。
何かおかしい…。
買い物カゴなんてどこにもなかった。それだけじゃない。ボクの大好きなお菓子も、お父さんが大好きなお酒、お母さんがいつも買っているデザートもない。何もかもがさっきとまるで違っていた。あるのは、泥まみれの野菜や小さな袋に分けられたお米、ところどころに傷のついたミカンやリンゴ。
「ちょっと!何してるんだい。しっかり働いておくれよ」
店の奥からおばあさんの声がした。その時初めて気が付いた…ボクの着ていた服までもが変わっている。ボクは薄汚れたTシャツに、ところどころ穴の開いた黒いエプロンをしていた。
ボクはなぜこんな格好をしているんだ?それに一体ここはどこなんだろう?
「まぁいいじゃないか。疲れたろ?少し奥で休んでおいで」
おばあさんに続いて、奥の部屋からおじいさんが優しい顔をして出てきた。
「そうだね、悪かったね、怒鳴ったりして。さぁ、お茶を入れてあげよう」
おばあさんはそう言うとボクの肩をそっと抱いて奥の部屋へと案内してくれた。
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