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明日、僕らは終わる。
数時間前、まだ僕の彼女である人から、
終わりの予告を知らされた。
二週間前、酒に酔い浮気と同等な行為を
したのは、彼女。
その行為を目の当たりにし、怒りを我慢していたのが僕。
今でもそのときの映像は、鮮明に僕の頭に残っている。
その場ですぐに、その行為を止めさせることも、怒りをあらわにすることも、できなかった。
だって、僕と彼女が作り上げた団体が、
成し遂げた大イベントの打ち上げの場だったんだから。
イベントの一番の功労者は、彼女。
大規模なイベントの成功は、彼女無くしては不可能だった。
彼女は寝る間を惜しんで、成功のためにずっと努力し続けていた。
僕と言えば名ばかりの代表で、彼女をサポートすることさえできなかった。
完璧主義の彼女に、
従うことを当たり前とし、実質甘えていただけだ。
打ち上げは、彼女が久しぶりに羽を伸ばすことができる機会。イベントスタッフも、
ずっとこの日を楽しみに待っていた。
僕の私情でそれを壊すことはできなかった。
それでも良く我慢できたなと、我ながら感心する。
あの拷問とも言える6時間、僕はずっと彼女の一挙一動を見つめ、
スタッフと笑顔で会話しながらも、
頭の中では彼女に触れた人間を殺していた。
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