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その青年は何かを調べるように辺りを見渡している。
そして、すぐ何かに気付いたようで、なるべく音を立てないように真っ直ぐ進んでいく。ある程度歩いた所で青年は立ち止まり、草陰から息を潜めて目線の先にいる獲物を窺う。
青年の目線の先にいる獲物は体調1メートル程で、狼のような姿をしている。
狼のような生き物の名前はシルバーウルフといい、その名の通り体が銀色の毛で覆われている。
シルバーウルフは一匹で行動する事が多く、複数人で挑めばあまり危険性はない。しかし、その速さは魔物の中でも上位に入り油断はできない。
青年が草影から窺っていたシルバーウルフは、辺りを軽く見て何もいないか探る。数十秒後、何もいないと安心したのか先ほど狩ってきた動物を食べ始めた。
食べ始めた隙をつき、青年はシルバーウルフに向かって音もなく駆け出し、右手でシルバーウルフの頭を掴む。食べる事に気をとられていたシルバーウルフは突然の事に反応が少し遅れたが、すぐにその右手から逃げ出そうとする。
だがシルバーウルフの頭は右手から抜け出せず、ただもがくだけで状況は変わらない。シルバーウルフを掴む力は強く、逃げ出そうとするシルバーウルフの頭からはミシミシという嫌な音が時折聞こえる。
シルバーウルフの頭をそのまま掴んでいて、何かが変わる訳でもないので、青年は素早く右手に微量の魔力を流す。
その瞬間、頭だけが砂のように崩れシルバーウルフの体が横に倒れた。
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