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敗けた。 ボロっボロの完敗だ。 「クソ…始めは調子良かったのに…」 財布もだいぶ薄くなってしまった。 どうやら今日はチン神(パチンコの神様の略称)に見放されたようだ。 まあそういうワケで、帰路に着いているワケだが、凄いイライラする。 自宅のアパートの前まで来ると、道端に落ちている空き缶を発見した。 …無論蹴らない手はない。 「うるぁあ!!!」 俺はそれを力任せに思いっきり蹴飛ばした。 空き缶はスカーンと気持ちのいい音を立て、 「え」 塀に当たって、 「ええ~」 跳ね返って、 「ウソぉ…」 …俺の頭部に命中した。 「ぶはははは!!ダセえ!!ダセえ大人がいるぞ!!ぶはははは!!」 追い討ちをかけるように、後ろに居た小学生達に大声で笑われた。 ていうか追い討ちだろコレ。 ………今日は厄日だ。 ――――俺の心を映すかのように、辺りはもう暗くなっていた。
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