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「今の悲鳴………あの子か!?」
…嫌な予感がする…
俺は全速力で脱衣場から飛び出し、玄関を出た。
「えっと…この間まで空き部屋だったのは…こっちか!」
少女の部屋を特定し、その部屋のドアを開ける。
するとそこには、黒い煙が部屋中に広がっていた。
「なっ……!!!
おい!!!大丈夫か!!」
火事か…!!
クソ!煙で何も見えねえ…!
でも…このアパートは一室一室が狭い……
手探りで探せばきっと……!!
俺はそう決心し、部屋に踏み込もうとした。
が、あの少女の声が俺を打ち止めた。
「えっ……と、隣の人!?な、何ですか!?」
「何ですかじゃねえだろ!どこにいる!?火事なんかで死ぬんじゃねえぞ!」
「か……火事……!??…卵焼き…焦がしただけですけど…?」
………………………は?
「…………ごめん……もう一回言って?」
「えっ…と………だ…だから…卵焼きを焦がしただけです…」
「………………………………」
開いた口がここまで塞がらなかったのは生まれて初めてだった。
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