震えるピース

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「な、何か用か…?」 「えっ!?いや、その~…」 「……」 「雫って…雷が苦手なの?」 そう聞くと、雫は顔を赤くし、そしてその顔を隠すように俯いた こりゃ図星だな… 「…おかしいか…」 「えっ?」 「この歳になっても雷が怖がってておかしいのかと聞いている!」 この時、俺は初めて雫の大きな声を聞いた 「こんな姿…見られたくなかった…」 「そんな落ち込むなって!大丈夫!お前の気持ちはわかるから」 「隼人に私の何が分かる!!」 そう言うと、雫は本棚にきっちり並べられた小説を無作為に取り出して、それを俺に投げつけてきた 「ちょ、待て!き、急にどうしたんだよ。痛っ!止めろってば!」 「…出てけ…」 「へっ?」 「出てけぇぇぇ!!!」 「いいっ!?」 いつの間にか雫の手には本ではなく、木刀が二本握られていた そして…賽(木刀)は投げられた… 「あ、危ないって!……こうなったら…とおりゃゃゃやあああああ!!!」 俺は野猿顔負けの身体能力で木刀を避け、なんとか部屋から脱出した あ、危なかったぁ…
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