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──目を開けると真っ白い天井が見え……ない
…どこだ、ここ?
頭をボリボリ掻きながら辺りを見渡すと俺は和室に立っていた
部屋は綺麗に掃除されていて、ぬいぐるみや人形が部屋の至るところに飾られている
そしてその部屋の隅っこで、体育座りをしながらしくしくと泣いている幼い少女
背中を向けているため顔は見えないが腰まで伸びている長い黒髪の女の子だ
なんだ、この状況
そして俺の後ろに位置していた襖を開けてまた幼い少年が入ってきた
あの男の子…
どこかで見たことがあるような、ないような…
そして男の子は女の子の肩をツンツンっと指先でつついた
「あの、──ちゃん…」
最後の部分がよく聞き取れなかったが女の子は涙を拭きながら振り返る
「──ちゃん。泣かないで」
「…グスッ…だって私、引っ越しちゃうんだよ。──君と離れ離れになるなんて…嫌だよ…そんなの…」
「──ちゃん…。」
女の子の言葉に暗い面持ちをする男の子
って言うか、どうしてさっきから二人の名前が聞こえない?
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