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「──ちゃん。これあげる」
そう言って男の子はズボンのポケットに手を突っ込んで何かを取り出した
そして女の子の手にそれを握らせる
女の子が蛍光灯の光を当てて見るそれは凹凸が左右対称になっている何かの欠片みたいなものだった
「何なの、これ?」
「ピースだよ」
「ピースって?」
「僕の持ってるパズルの1ピース。引っ越し先に持ってって」
「えっ!でもこれがないと二度とパズルが完成しないよ」
「いいんだ」
男の子は女の子に優しく微笑む
「僕、──ちゃんの事大好きだよ」
「えっ!?」
「──ちゃんは僕の事好き?」
「……うん。…大好き」
突然の告白
二人は頬を赤らめて互いを見つめ合う
「僕、大きくなったらプロ野球選手かパイロットになる。」
水を差すようで悪いが、現実はそんな甘くないぞ
「それで──ちゃんのお婿さんになる。だから僕が迎えに行くまでそのピースを大切に持ってて。絶対、迎えに行くから。その時にもう一度、パズルを完成させよ」
男の子は無邪気な笑顔を女の子に見せる
「……うん。…待ってる」
女の子はピースを持ってる手を胸の前にやり、微笑む
……二人のやり取りにこっちまで恥ずかしくなるよ…
……まぁ、両想いで何よりだ
なんて思いながら二人を見ると、俺の目の前で二人は顔を近づけて互いの唇を…───
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