西村絵里

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「でも嫌いにはならないかな」 また前を向き、不意に放った彼女の言葉と涼しげな彼女の声に驚いた。 「……なんで?」 「あたし、人は絶対に嫌いになりたくないんです。人を嫌いになると、その分自分も嫌われると思うから。 それに人は嫌な一面があって当たり前だけど、全部が悪いわけじゃないし。 ……まぁ気に入らない人はたくさんいますけどね」 前を向いたままだが、笑いながら彼女は言った。 その笑顔を見ると、なんだか人をすぐ嫌いになる自分がちっさく思えた。
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