西村絵里

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さすがにそんなに見つめられると照れる。そして歩きにくい。 「前を見て歩けよ。あと、少し離れてよ」 すみませんと彼女は少し離れる。 「二ヶ月前までいたんだけど、別れた……」 「えーなんで?」 別れた原因は彼女の浮気だった……。 すべて彼女が悪いわけではない、安心しきって電話やメールをあまりしてやれなかった。 さみしい思いをさせてしまったんだと思う……。 『あたしのこと好き?』 いつの間にかそれが彼女の口癖になっていた。 好きと伝えなくても分かっていると思っていた。 俺たちは心が通じ合っていると思っていた。 ────しかしそれは突然訪れた。彼女が知らない男と寝ていたのだ。 いつからかは分からない……ただ彼女の浮気というのには深く傷ついた。 もうすぐで三年というとこで訪れた別れ。今までのすべてがうそに思えた。 今までの俺たちを否定された気分だった。
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