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「初めまして。今日からここでバイトさせてもらいます。西村絵里(にしむらえり)です。
分からないことだらけですけど、よろしくお願いします」
そうあいさつをした女の子は、身長大体……150過ぎってとこだろうか。
笑顔で言ってるつもりだろうが、緊張しているのがわかるくらいの作り笑いを浮かべている。
でもこの子……。
なぜか初めて会う気がしなかった。
「はい、よろしく。
あのね西村さん、いきなり私もこんなこと言いたくないんですけどね、バイトって気持ちでやられたら困ります。
お客様に料理を提供するのに、バイトですから~って気持ちじゃいい加減になっちゃいますから。
あなたも社会に出た一人になります。しっかり自分の行動に責任をもって働くという気持ちでやってくれないと困りますから」
みんな、『始まったよ』といった感じでお互いの顔を見合わせている。
このグチグチ喋ってるのが店長。新人がやめていくのはたぶんこの人のせいだろう。
言いたいことは分かるし、もっともなことだが、話が長い。おまけにしつこく細かい。体はでかいくせに器がちっちゃい。目の周りが黒いうえに切れ目なので、じっと見つめられながらしゃべられると威圧感が必要以上に生まれる。
おまけに臭い。いや、臭くはないが見た目が……。
だから俺は店長が嫌いだ。
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