西村絵里

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はぁ、やっと今日も終わった。今日は人多かったな。 首を回したり、肩をもんだりしていつも以上に疲れた体をほぐしながら控え室に戻ると、 「お疲れさまです」 先にあがったはずの西村さんが、イスに座ってマニュアルを読んでいた。 いつもなら机の上はシフト表やノート、お知らせの冊子などで散らかっているのだが、今はまとめられて端に寄せてあり、すっきりしている。 西村さんが片づけたのだろうか。 いつものように、たばこの臭いは染み着いているものの、全体的にさっぱりした控え室は普段と違うように思えた。 西村さんもさっきとは少し雰囲気が違う。 飲食店で働くため、アップにしていた茶色がかっている髪は肩についていた。ロングスカートに足下はブーツってやつ? 女の子っぽい。 「あれ、西村さん帰ってなかったの?」 「斉藤さんと仲良くなりたくて、待ってました」 持っていたマニュアルをリュックサックにしまい、はにかんだ笑顔で俺を見ている。 「あぁそう。家どの辺? 遅いから送るよ」 いきなりなつかれちゃったな……。 俺は上着を脱ぎながら首を回す。 「自転車で来れる距離です。車なんですか?」 イスに座りながらも身を乗り出して聞いてきた。 「いや……俺もチャリ。着替えるから待っといて」 そう言い、俺はロッカーに向かった。
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