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「もしもし?さっきはごめん。」  ほどなくして、彼から電話がきた。陳腐な黒魔術の薬を飲み下しながら周りの雑音が消えていることに気付く。 「あ、いいのよ。どうかした?」  私は待っていた。彼の一言を。たった一瞬でいい、彼と二人きりで会える魔法を。 「いや、ネックレス落としてたよ。」  彼はきっと冷たい視線のまま、煙草を吸っているのだ。規則的なあの動作を行いながら。けだるい息が聞こえる。 「あらやだ、本当に落としてる。…困ったわね。どこに落ちていたかしら?」  私は同じように煙草に火をつけ同じように息をする。 「僕がもってます。今どこにいる?」 「あのホテルのバーよ。」 「わかった。偶然だね、今いくよ。」
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