思い出

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紆余曲折を経て、樹と巴は恋人同志になった。 俺は…。 大した変化はなかった。 昔に比べれば、単さんの側にいられる時間が増えただけいいのかもしれない。 単さんも楽しそうに仕事をしているし…。 でもなあ…。 欲が出てくるのが人間てモンで…。 幸せそうな樹と巴を見ていると、自分を愛してくれる人といる方が幸せなのかもしれない…とか思ったりもした。 巴に、愛するのと愛されるのはどちらが幸せか訊いてみたりもしたが、 「そんなの、両方に決まってる」 そう言われた。 …そりゃあそうだよなぁ。 でも、単さんが俺を好きになるなんてあり得ない。 長い間ずっと思ってきた事だ。 さらにその思いが強くなったのは、単さんが冷たくなった気がしていたからだった。
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