思い出

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単さんと対峙して、俺の緊張は極限に達していた。 巴に、単さんと話すとは言ったものの、いざ単さんの前に立つと、言葉が見つからない。 俺が黙っていたら、単さんが口を開いた。 「龍司…俺の事好きか?」 前にも言われた事のある台詞だった。 前は、気持ちに応える事はできないって言われたんだよな…。 でも、臆病になっていては何も変わらない。 「はい。ずっと貴方が好きです」 思い切って言った。 「どうして、お前は…」 単さんが悲しそうな顔をしたから、またフラれるのかと思った。 「俺なんかのどこがいいんだ」 伏せた目がとても綺麗だ。 単さんの好きな所…。 綺麗な顔立ち。 華奢な身体。 芯の強い所。 意外と優しい所。 頭の回転が速い所。 上品な身のこなし…。 挙げだしたらきりがない。 つまり、これって、こういう事だろう。 「全部、好きです」 それを言ったら、単さんが少し頬を赤らめた気がした。 「…俺なんかでいいのか?」 あれ…? いつもと違う。 その言い方だと…。 単さんは俯いたままで、表情はわからない。 だから、意を決して、単さんを抱き締めた。
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