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翌朝は快晴だった。
二人でシャワーを浴びて、家を出た。
気合いを入れて出たんだが…マリーさんのお墓まで、徒歩5分。
つまり、それは大沢家の敷地内なのだった。
マリーさんのお墓は家が建っている場所より少し上がった、眺めのいい所にあった。
十字架の形の墓石には、名前は彫られていない。
「墓って言ってもな、遺髪を埋めてあるだけなんだ。本当の墓はフランスにある」
単さんは悲しそうな顔をしている。
「マリーさんはここにもいるんだから、問題ないです」
俺は、墓石の前に跪いて、両手を合わせた。
それから、本題を切り出した。
「突然ですみません。マリーさん、単さんを俺に下さい。絶対、幸せにしますから…」
「龍司…」
後ろを振り返ると、単さんの瞳は驚きに見開かれている。
「花婿が花嫁の両親に挨拶に行ったみたいで、驚きましたか?」
「…違う」
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