240人が本棚に入れています
本棚に追加
「鎖が…切れた…」
単さんは、自分の服の中をごそごそ漁って、切れたチェーンと外れたリングを見せてくれた。
「マリーさん…」
気が付くと、涙が頬を伝っていた。
単さんを見ると、単さんも泣いていた。
「単さん…」
マリーさんの前で悪いとは思ったけど、単さんを抱き締めた。
「…俺は、幸せになってもいいのかな」
俺の背中に腕を回しながら、呟くように言う。
「当たり前です」
単さんを抱く腕に力を込めた。
「なぁ、龍司…頼みがあるんだ」
腕の中の単さんが言った。
「何ですか?」
「俺より長生きしてくれ。一分でも、一秒でもいいから」
「単さんっ」
…単さん、プロポーズみたいです。
あまりに嬉しくて、更にきつく抱き締めてしまった。
「龍司っ…苦しい」
「すみません」
ぱっと単さんを離すと、じっと真顔で見つめられた。
最初のコメントを投稿しよう!