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入学したら、すぐに単さんを見つける事ができた。
有名人だったんだ。
容姿端麗で成績優秀。学年トップから落ちたことはない。
彼に憧れを抱く者は多かったが、単さんの持つ雰囲気は、人を寄せ付けまいとしているようだった。
近付けば、冷たい視線と言葉で跳ね返される。
それでも、敢えて俺は単さんに近付いたのは、いつも一人でいる単さんが、時々寂しそうな顔をしてる事に気付いたからだった。
とりあえず、単さんと同じ弓道部に入った。
偶然にも、委員会も同じだった。
その事を利用して、単さんの回りをチョロチョロしていた。
最初は鬱陶しそうにしていた単さんも、段々話をしてくれるようになった。
単さん、教室ではいつも一人でいたから、ランチにも誘うようになっていた。
単さんは相変わらずそっけ無かったが、俺は幸せだったんだ。
二人でいる時は、単さんが俺だけのものであるような気がした。
だから、調子に乗って言ってしまったのだ。
好きだ…と。
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