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「あ、そーだ。俺、思うんだけどさ、」
家までの帰り道、
笹谷は頭の後ろで
手を組み
空をぼーっと眺めながら
話しかけて来た。
「何?」
目線を少し下げてやると
笹谷は
「七海ってさぁ、モテるよなー。でも、結構猫かぶってるよなー。」
―とんでもない事を。
「俺は、皆に好かれたいの。」
そんなのんきなことを
言ってやる。
「俺…は、別に素の七海も悪くないと思うんだけどなぁ……。」
笹谷はボソりとつぶやいた。
「そーか?」
「だってさ、本当の自分を出さないで、これから2年学校通えんのか?」
笹谷なりに心配してくれたらしい。
「まぁな…それなりに。……ありがとう…。」
全く、こいつは俺の
彼女かって。
自分のことのように俺を心配してくれる人に、久しぶりに会ったかもしれない。
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