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東の空が茜色に染まりつつある中、立海大付属テニス部R陣は部室で夏の合宿についてミーティングを行っていた。
「……以上で確認は終了。
何か質問がある人は?」
幸村が質問を促すと「はいっ!」と元気に手を挙げて主張する赤也。
「何処の学校と合同なんスか?」
その質問に答えたのは幸村ではなく、ノートを見ていた柳だった。
「青学と氷帝だ。
跡部財閥の私有地のコートを提供してくれるそうだ」
「マジかよぃ……。さすが金持ちはやることが違うぜ」
ブン太は目をまん丸と見開いている。スケールが違い過ぎるのだろう。
「それでは練習に戻ろう」
立ち上がり外に出ようとしたら扉の前に何かあった。
白い毛に身を包み、耳が長くて緑の洋服を着ている。
「これは……兎ですね」
柳生が眼鏡を人差し指で押し上げながら何であるかを指摘する。確かにそこにあったのは紛れもなく兎だった。
しかも、その兎は不思議の国に出てきそうなほどメルヘン。
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