第1話『受け継がれし伝説』

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「これから、実験を行うパイロットの発表を行うわ。新型のテストを行うのは私を含めて6名。呼ばれた者は、この場に残っていて。まずは…グレイブ・ガルファス」 「うっ…貧乏くじかよ」 グレイブが渋々手をあげる。隣でリュングが羨望の眼差しでそれを見ていた。それからあとも、リュングの名が呼ばれることはなく、最後の一名となった。 「最後ね…」 リュングが半ば諦めかけて席を立とうとしたときだった。 「リュング・フィリップス」 「はいはい、どうせ俺は…って、俺?」 立ち上がりかけたままの態勢で、リュングがリリスを見た。 「それ以外の者は解散、各自別命があるまで待機していてください」 中腰のリュングを無視しながら、リリスが指示を出す。ガヤガヤと他の隊員が部屋を出て行き、中にはデュークを含めた7人が残った。 「…さて、みんなには」 「うっひょーっ!」 リリスが話を始めようとした瞬間、リュングが声をあげた。 「やっべぇぞグレイブ!俺がガンダムのパイロットだぜ!?」 「やめろ、みっともない。初っ端から恥をかかせないでくれ」 グレイブが正直な気持ちを素直にぶつけた。その時、一人の男がリュングに向けて呟いた。 「まったく。この隊は前からこんなウルサイ奴がいたのか?」 「あぁん!?」 水をさされたリュングが、声の主を見る。そこには自分より年下であろう、黒髪の美少年風の男が目を閉じて座っていた。 「てめぇ…見ない顔だな」 「ふっ…僕はレオン・マクスウェル。階級は少尉…いや、2階級あがったから中尉だ、なんとか・フィリップス准尉」 「年下の癖にナメた口聞きやがって!」 リュングは今にも飛び掛かっていきそうだった。グレイブが必死にそれを抑える。 「何を言っている。階級は僕の方が上だろう?」 「知るか!年下は年上を敬え!」 「あの…リュング・フィリップスさんですよね?」 「そうだ!こんなふうに…って、今度は誰だ?」 リュングは声の主を探した。自分の目線の下に、今度は明らかに10代の少年が立っていた。 「あ、自分はカイト・エイシェン少尉です!新しくこの隊に配属されました!」 カイトはペコッと頭を下げる。リュングは、不意をつかれたのか、振り上げていた拳を降ろした。
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