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「これから、実験を行うパイロットの発表を行うわ。新型のテストを行うのは私を含めて6名。呼ばれた者は、この場に残っていて。まずは…グレイブ・ガルファス」
「うっ…貧乏くじかよ」
グレイブが渋々手をあげる。隣でリュングが羨望の眼差しでそれを見ていた。それからあとも、リュングの名が呼ばれることはなく、最後の一名となった。
「最後ね…」
リュングが半ば諦めかけて席を立とうとしたときだった。
「リュング・フィリップス」
「はいはい、どうせ俺は…って、俺?」
立ち上がりかけたままの態勢で、リュングがリリスを見た。
「それ以外の者は解散、各自別命があるまで待機していてください」
中腰のリュングを無視しながら、リリスが指示を出す。ガヤガヤと他の隊員が部屋を出て行き、中にはデュークを含めた7人が残った。
「…さて、みんなには」
「うっひょーっ!」
リリスが話を始めようとした瞬間、リュングが声をあげた。
「やっべぇぞグレイブ!俺がガンダムのパイロットだぜ!?」
「やめろ、みっともない。初っ端から恥をかかせないでくれ」
グレイブが正直な気持ちを素直にぶつけた。その時、一人の男がリュングに向けて呟いた。
「まったく。この隊は前からこんなウルサイ奴がいたのか?」
「あぁん!?」
水をさされたリュングが、声の主を見る。そこには自分より年下であろう、黒髪の美少年風の男が目を閉じて座っていた。
「てめぇ…見ない顔だな」
「ふっ…僕はレオン・マクスウェル。階級は少尉…いや、2階級あがったから中尉だ、なんとか・フィリップス准尉」
「年下の癖にナメた口聞きやがって!」
リュングは今にも飛び掛かっていきそうだった。グレイブが必死にそれを抑える。
「何を言っている。階級は僕の方が上だろう?」
「知るか!年下は年上を敬え!」
「あの…リュング・フィリップスさんですよね?」
「そうだ!こんなふうに…って、今度は誰だ?」
リュングは声の主を探した。自分の目線の下に、今度は明らかに10代の少年が立っていた。
「あ、自分はカイト・エイシェン少尉です!新しくこの隊に配属されました!」
カイトはペコッと頭を下げる。リュングは、不意をつかれたのか、振り上げていた拳を降ろした。
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