夏の終り

2/18
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
「明 椅子片付けたら 着替えて ビーチに来い。」 ペンションのオーナーの貴明さんが 厨房から声をかけた。 「え 今日は日曜なのに いいんですか?」 シーズンの土日は忙しくて 俺達に自由な時間などなかった。 貴明さんはマスター・スクーバ・ダイバーで シーズン中 泊り客にスキューバの講習をやっていて  平日 客が引けている時に 俺にも スキューバを教えてくれていた。 「野暮な事言うなよ・・・ もうそろそろオフだし この時間から うちに足を向ける 酔狂な客はいないよ。 今日はもう閉める。」 たしかに 貴明さんの店は親のやっていた民宿を改装して始めたペンションで 建物自体は古く 最盛期に忙しいのみ このころになると ほとんど客は引けていた。 「じゃあ 遠慮なく。」 俺は急いで椅子を片付けて 着替えに走った。  
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!