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千鶴と付き合って、2年が過ぎた頃、サークル仲間の奈菜に告白された。
もちろん、返事はNOだ。
だけど、2年間も自分を好きでいた奈菜の気持ちを考えて、真剣に返事をした。
奈菜は、泣き崩れたが、誰にでもいい顔をするのは、おかしいと思ったので、はっきり自分の気持ちを伝えた。
そんなある日、晃が結婚するという知らせが入った。
千鶴に告げようかどうか、迷ったが、いう事にした。
「千鶴、兄貴が今年の春に、結婚するんだ。」
「そっか。おめでたいね。」
もちろん、千鶴も色々思うところはあったが、素直に喜んだ。
「千鶴、ショックじゃないの?」
翼は、千鶴を心配してくれた。
「ちょっとショックだよ。だけど、それは晃を好きだからとかじゃなくて、ちょっぴり複雑な気持ちになってるだけ。」
そう言うと、千鶴は翼の肩にもたれかかった。
細く白い千鶴の手を、自分の手に絡めた。
自分の手が大きすぎて、千鶴の指の間に、手を絡めると、壊れそうな気がする。
「千鶴、結婚しようか?」
翼は、絶対に千鶴と一緒になりたかった。
「卒業したらね。」
千鶴が、翼をなだめた。
「今すぐ、一緒になりたい。」
「気持ちは嬉しいよ。だけど、きちんと卒業してください!」
そう言うと、千鶴は翼にキスをした。
「ずっと、愛してるから。もう、お見合いとかしたいと思ってないから。
そんなに不安にならないで。」
千鶴は、翼にそう言った。
翼だって、不安なんだ。
千鶴は今まで、自分の事しか考えてなかった。
自分もそうであれば、相手だって不安でないはずがない。
翼と付き合って、千鶴は変わっていった。
一途に人を、愛して行けたら、きっと素敵な恋が出来ると思いはじめていた。
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