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「弟が、大学受験で明後日から東京に来るんだよ。その間、ちょっとここに泊めていい?」
晃は、カメラをいじりながらそう言った。
「何日ぐらい?」
「1ヶ月ぐらい・・・」
その言葉に、千鶴は卒倒しそうになった。
「1、1ヶ月も・・・」
ただでさえ、晃と最近エッチもしてないのに、弟がいたら、なおさら出来ない。
それに、結局ご飯の用意だとか、それ以外の事は、全部千鶴がやらなくちゃいけない。
それがわかっていたからこそ、千鶴は頭がくらくらした。
「ごめん、千鶴。親にどうしてもって言われて、断れなかった。」
晃は、いじっていたカメラの手入れを一旦やめて、千鶴の傍にやって来た。
「頼む、この通り!」
両手を拝むように、お願いをされて、断れなくなった。
「わかった。」
「ありがとう!千鶴!」
そう言うと、晃は千鶴に抱きついた。
こういう時、本当は抱きつかれて嬉しいんだろうけど、なんだか晃が、子供に見えてくる。
年の差を感じてしまう。
だから、尚更結婚なんて、無理だと思えた。
「あ、それと、俺明後日から、出張でいないから、弟を駅まで迎えに行って欲しいんだ。」
承諾はしたけど、まさかそんな展開になるとは、思っていなかった。
「ええ・・・ね、出張っていつまで?」
「だいたい、3週間ぐらいかな。」
「って、私、晃の弟くんと二人っきりになるじゃん!」
千鶴がそう言うと、晃はニコニコ笑った。
「大丈夫だよ。千鶴と年だって10コも違うんだから。」
「そ、そういう問題じゃないんじゃない?!」
千鶴はあきれて、それ以上何も言えなかった。
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