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――蒼天の空にそよぐ風。
それに乗って漂う桃色の花弁(はなびら)を目で追えば・・・
古来より咲き続ける万年桜が人々を見守るように
天を貫かんばかりの巨体を、悠々と佇ませているのが見える。
その巨木には、母に寄り添う子供のようにして町並みが広がり
それを囲むように、街を守護するべくして作られた石の壁には、要所要所に煌めくクリスタルが埋め込まれ
その要所にあるクリスタルを繋ぐようにして、紋様が彫り込まれている。
堅牢な城壁とも呼ぶべき石壁の中に広がる軒並みも、上空から見れば
万年桜を中心として壁を含めた国全体を、一つの巨大な円形の術式としている事がわかる。
これは、ギルド【賢者】に所属したばかりの新人研究員が考案したライフクリスタルを利用し、特殊な紋様と万年桜を中心とした桜国の軒並みを術式の一部として発動する
“水晶式紋様防壁陣”である。
これは、エネミーを近寄らせない万年桜の不可思議な力を増幅し、強化させる効力を持つ。
驚く事に、これを考案したのはたった一人の新人研究員。
研究員はその功績を賢桜に認められ、研究所の所長に任命された。
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