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――視点を桜国の繁華街から少し離れた場所に建つ、石造りの建物に移してみよう。
その建物は三階建ての貸家のようだ。
一階は大家の老夫婦が住んでおり、二階と三階を貸家としている。
二階の住人は繁華街にて果物を扱う屋台を開いている40後半の男性。
三階の住人は件(くだん)の賢桜に認められた人物であり、総合研究所の新人研究員から所長へと異例の大出世をした才女。
この物語の主要人物の一人であり、観察者である私がこの世界での観察対象者とする一人でもある。
名はエル・H・ワイア
正式名はエル・ハウンド・ワイアとなり、猟犬を祖とする一族の生まれである。
特徴は若干だが尖った耳に鋭い犬歯、それと腰の少し下辺りに生えるフサフサの尻尾だ。
彼女には両親をエネミーによって亡くしたと言う過去があるが、双子の妹と二人で過去には囚われずに今まで生活してきた。
彼女の双子の妹も重要な役職に就いているが、それは後にわかる事なので今は置いておこう。
彼女が考案し賢桜に認められた“紋様術”と呼ばれる技術は、特殊な図柄や模様を用いて円形の陣とし自然界の力を借りて、陣の中にある物や人を守護したり治癒する事が可能な正に奇跡の技と言える技術である。
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