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――さて、補足もこれで終わり。
脱線した話を戻すとしよう。
貸家の三階に住む彼女、エル・H・ワイアの一日はまず爽やかな鳥の囀りにより始まる。
――――――
―――
―
――チュンチュン・・・チュンチュン・・チチチチチチ
エル「ん・・・朝か」
知的さを感じさせる端整な顔立ちに、艶のある流れるようなプラチナブロンドの長髪を純白のベッドに散らばせた美女。
エル・H・ワイアは、あまり感情を感じさせない淡々とした口調で目を擦りながら呟く。
エル「・・・・・」
まだ眠いのか、白い長袖シャツと下着だけに守られたスレンダーな体を上半身のみ起き上がらせた状態で、無言のまま虚空を見つめる。
数秒か数分かボォーっとしていたエルは、上体はそのままに目だけを部屋の壁にあるシンプルな時計に向け、一度だけゆっくりと瞬きをする。
エル「ん、良し。起きた。」
小さく呟くと、エルはベッドから今度こそ完全に起き上がり「ん~」と可愛らしく唸りながら伸びをして、朝日が差し込む窓に近づく。
――キィッ
そんな音を出しながらエルによって開かれる窓の外からは、朝の冷たく新鮮な空気が部屋へと流れ込み、寝起きで霞みがかっていたエルの頭をクリアにする。
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