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エル「うん。今日も良い天気ね。」
桜国の中心に佇む万年桜が、夜明けの町並みと合わさり神秘的な美しさを醸し出している。
その光景を眺めつつ、満足そうに呟く。
とは言うものの、エルの表情筋は微動だにしていない。
どうやら彼女は基本的に無表情のようだ。
感情をあまり表に出さないし表情に変化がないし口調も淡々としているが、心まで冷たいわけではなく彼女と親しい人物はそこそこ多くいる。
だが、彼女の喜怒哀楽の感情を完璧に読み取る事が出来るのは双子の妹のみである。
エルの表面しか知らない初対面の者達には、エルが冷たく感情のない近寄り難い人物に思える事は請け合いだ。
しかしそんな事は全くないし、相手を気遣う優しさもあれば、細かい所まで気配りの出来る正に理想的な女性と言える。
――存分に新鮮な空気を堪能したエルは、部屋に備え付けられているシャワールームに髪と同じプラチナブロンドの尻尾を揺らしながら、入って行く。
覗く訳にもいかないので、少し簡単に内装でも説明しよう。
エルの部屋は清潔感溢れる白い壁紙で統一されており、リビング、寝室、キッチン、シャワールーム、トイレとなっている。
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