健康な生活とは・・・

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ちなみに僕の顔を女顔にいじくったのは母だ。 昔医者をしていた母は、一応そういう免許を持っているらしい。 母に免許を与えるなんて医療界って所は一体どうなってるんだ! と心の中で毒突くけど、これ以上顔をつつかれるのはごめんなので口には決して出さない。 あくまで母の意志に逆らわず過ごすのみだ。 僕はラップでミイラ状になった上からコルセットを身につけた。 これが僕の家着である。 僕は鏡に映った姿に溜め息をこぼした。 リビングキッチンに行くと母が変な機械を組み立てていた。 「母さん、これまた通販で買ったの?」 「違うわよ。これは私が造ったの。あ、アキラ、そこの鍋のモノ自分で注いで。で、その皿持ったままここに立って」 僕はしぶしぶ母の指示に従った。 皿の中にはまだ原形をとどめた蟻のようなものが浮かんでいる。 「アキラ、ラジオ体操覚えてるわよね」 僕は頷いた。 「いい、今から私がこの機械を動かすから、あんたはローラーに巻き込まれないように走って。で、ラジオ体操をしながらそのスープを飲むのよ」 「え…無理だよ母さん」 僕はささやかに抵抗した。 「何言ってんの。アキラなら出来るわよ。お母さんちゃんと見ててあげるから。あら、スープ、もっと並々注がないと効果が得られないわよ」 母はそう言いながら、僕の持っていた皿に溢れんばかりにスープを継ぎ足した。
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