そして物語は走り出す 妹視点

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朝起きてからの僕の仕事は、姉のことをたたき起こし、妹の朝御飯を作り、仕事へ向かう父親に弁当を作ることだ。 海外出張している母親の替わりに、家事全般は僕の仕事だ。 僕の家族は、大手企業会社に勤める両親と今年で28になる弁護士の姉(一人暮し)と20になる大学生の姉、14才の妹の五人家族だ。 母と一番上がいない今、この家の全ての権力は2人目の姉にある。 本当ならば、残った家族全員で等しく分けなければならない家事も、全て僕に押し付けられている。 姉曰く、 『花嫁修行』 らしいが、誰の嫁にはいる予定もないし、その気もないので全くの無意味だと思う。 一通りの仕事を終えると、次は自分の支度に取りかかる。 料理中に制服を汚したら嫌なので、違う服でやっていたので制服に着替える。 時計を見れば家を出なくてはならない時間が迫っていることに気づいて、少し焦った。 今日は高校の入学式なのだから遅刻するわけにはいかない。 入学初日に遅刻した生徒がどんな末路を辿るか、この目で見たからこそ言えること。 三年間それをネタにされ続けているのをみているのは、心が痛かった。 天国鬼男、あれは悲惨だった。
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